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顧客維持(カスタマーリテンション)のための4戦略!実証済みの方法とは?(海外TOPICS)

リカーリングビジネスでは、新規顧客獲得よりも顧客維持を重視すべきだといわれています。ただし、従来の売り切り型と比べて新しいビジネスモデルということもあり、顧客維持に特化した戦略というものは国内で普及・確立されていません。 そこで今回は、海外のビジネスコラムサイト Entrepreneur に寄稿されたコラム “Steal These 4 Proven Custmer-Retention Strategies”(以下”4 Strategies”)をご紹介します。新ビジネスの本場アメリカで提唱される戦略を参考にして顧客維持を成功させましょう。 原文のリンクはこちら “4 Strategies”の筆者のSyed Balkhi起業家・グロースハッカー・マーケターです。そんな彼が考える、顧客維持のための戦略は以下の4つです。 ※全体としてEコマース向けの内容となっています。 1.価値を示す 2.控えめな約束で大きな結果 3.リエンゲージメントメールキャンペーンを実施する 4.サブスクリプションモデルのビジネスを始める 基本的に“4 Strategies”の流れに沿って話を進めていきますが、本コラムではただの翻訳とならぬよう各項目で情報のさらなる充実を図っています。<概要>では、“4 Strategies”の概要を日本語でまとめています。<考察>では、補足や関連情報、日本との比較等を加えています。

導入文

概要

・1年目の顧客のうち2回目の注文をおこなうのは32%しかおらず、多くのマーケティング資源を失っている ・既存顧客は潜在顧客と比べて購入する可能性が3~12倍高い ・Adobeの報告によると、10%の顧客を維持すれば2倍の収益が得られる ・まだ多くのEコマース企業は顧客獲得だけに頼って既存の顧客基盤の維持・育成の将来性を軽視している ※すべてEコマースにおけるデータです。

1.価値を示す

概要

・新規の顧客の大半は緊急のニーズを満たしに来るだけであり、長期的関係を築きに来るわけではない ・顧客がより頻繁にサイトを訪れ、より多くの時間を費やし、最終的に購入したくなるような方法を模索するべき ・定期的な有用コンテンツのリリースは、顧客に向けた価値実証の一つの方法 ・NewEgg(アメリカ大手ネット通販)は、製品レビューから詳細なチュートリアルまで、さまざまな動画を駆使して消費者を引き付け最終的に顧客に変えてしまう ・製品説明では訪問者の購買意欲を刺激するだけでなく、顧客が購入後もブランドを覚えているような仕組みをつくろう

考察

価値のあるコンテンツを定期的に提供することは、新規顧客獲得だけでなく既存顧客維持にも効果的です。コンテンツづくりの最終ゴールは売上につなげることですから、提供するコンテンツが想定ターゲット(潜在顧客)にとって有益となるものでなければなりません。 では、どうターゲット設定すればよいのでしょうか。それは既存顧客を徹底的に分析することです。継続期間が長いということはプロダクトと個人(企業)の生活スタイル(ビジネスモデル)がマッチしていたということです。もしマッチしていない場合はすぐに解約するか、そもそも購入しません。リカーリングビジネスは継続課金で収益を積み上げることを前提としますから、マッチしない新規顧客獲得はコストパフォーマンスを考えると避けるべきです。既存顧客に好まれるコンテンツを提供し続けることで、顧客維持「長く利用してくれる」新規顧客の獲得を達成することができるはずです。

2.控えめな約束で大きな結果

概要

・顧客との約束を反故にすれば信用は一瞬で地に堕ちる ・当日配送を提供しているものの、現実的に常には無理な場合、顧客の不満が生まれかねない ・配送時間を見積り、それを2倍にしてみよう ・Zappos(アメリカにある靴のネット通販)は、5日以内の配送を約束しているが、ほとんどの注文は一晩で届けられる ・顧客の期待を上回ることで、ブランドへの良い印象と信頼を培っている

考察

99%達成できることも1%失敗するならば約束しない方がいいということになります。Zapposの例では配送時間が挙げられています。「5日以内」は広大なアメリカならではですが、ほとんどを一晩で届けるとは驚きです。ユーザーとしてはポジティブな印象を抱いて終わるので、次回も利用したくなるに違いありません。 顧客満足度向上のために事前期待を上回る必要性はよく言われていますが、実際にできるレベルよりも低く伝えることは日本のビジネスではあまり見かけないのではないでしょうか。約束が控えめすぎると購入・利用前に顧客が離れてしまうことを考えるとなかなか勇気のいるものです。スピード・質・価格のうち武器となる部分で、見積りを控えめにして顧客の期待を上回ることを意識してみましょう。

3.リエンゲージメントメールキャンペーンを実施する

概要

・メールマーケティングは自然検索のほぼ2倍のコンバージョン率を生み出すが、メールリストにいる顧客の多く(平均で60%)が「死んだ」サブスクライバーとされている ・非アクティブなユーザーで満たされたリストは、メール到達率、コンバージョン率の低下につながる ・33のネット小売業者のリエンゲージメントメールキャンペーンのデータによると平均開封率は12% ・「非アクティブ」の定義件名の微調整、連続的なリエンゲージメントキャンペーンの実施が重要

考察

リエンゲージメントメールによって非アクティブとされていたユーザーのうち12%が開封したというのは興味深い結果です。大多数のマーケターは過去6ヶ月から1年の間に開封・反応のない会員全員を「非アクティブ」と定義するようです。12%という数字を見ると、条件に当てはまる全員を非アクティブと位置付けてリストから消去してしまうのは、かなりもったいないということがわかります。非アクティブと位置付ける前に、変則的なメールの送付や定義の見直しを検討してみましょう。特に件名の工夫は大きな結果をもたらします。メールマガジンの読者の多くは開封しませんが件名には目を通しています。時にはインパクトのある件名にして効果を見てみましょう。”4 Strategies”では、“We miss you!”(あなたが恋しいよ!)という件名が、普段の無難な件名よりも良い結果を生んだと述べられています。全面的に感情に訴えかけることも有効になりそうです。

4.サブスクリプションモデルのビジネスを始める

概要

・サブスクリプションエコノミーは多くの産業でスタンダードとなっており、特にEコマースでは顕著 ・サブスクリプションはリピーターからの収入の保証に役立つ ・収益の予測管理がしやすくなり、拡張計画の最適化やそれに応じたマーケティング予算の設定が可能になる

考察

デジタルトランスフォーメーションが進み、「モノの所有」から「サービスの利用・体験」へと消費者意識が変化したことでサブスクリプションエコノミーが広まりました。 個人的に、顧客維持のためにサブスクリプションを始めようというのは論理的矛盾を感じました。サブスクリプションは継続課金によって収益の安定・拡大を図るビジネスモデルなので、顧客維持が最重要事項であり、言い方を変えると顧客を維持できなければ成り立ちません。したがって、サブスクリプションを始めたからといって顧客維持ができるというわけではありません。 ただし、サブスクリプションビジネスが増えたことで、それに適したプロダクトも発達してきています。例えば、顧客管理システムや請求管理システムが挙げられます。それらを上手く利用することで、顧客それぞれに適した対応・サービスの提供が可能になります。顧客一人一人と向き合っているという姿勢が伝われば顧客維持につながるはずです。

まとめ

顧客維持のための4戦略をご紹介しました。リカーリングビジネス・サブスクリプションにおいて顧客維持は不可欠なため、顧客維持のための施策に多くのリソースを割くべきです。ビジネスの特性上、管理業務を要する顧客は毎月増えていきます。毎月発生する同じような業務をシステムで効率化・自動化する必要がいつかは出てきます。事業が急速に成長して立ち行かなくなる前に、早い段階で検討することをお勧めします。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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