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いまさら聞けない!サブスクリプションやカスタマーサクセスって何のこと?

Column

サブスクリプションサービスは、商材の定額制サービスの提供モデルとして浸透してきていますが、実際どのようなサービスなのかわからない人もいるのではないでしょうか。今さらサブスクリプションについて説明して欲しいとは言いにくい人もいるでしょう。この記事では、サブスクリプションの定義や、カスタマーサクセスの概念や取り組み事例などの紹介とともに、サブスクリプションに関連するワードについても解説していきます。

サブスクリプションとは?

サブスクリプションは、定額制のサービスを展開する上で欠かせない用語です。ここでは、サブスクリプションについて詳しく説明していくとともに、サブスクリプションの概略やメリットとデメリットについて解説していきます。まだサブスクリプションについてよくわからないという人はぜひ参考にしてみてください。

定額の料金を支払う方式のビジネスモデルのこと

サブスクリプションとは、利用期間を定めて定額の料金を支払ってもらい、商品やサービスを提供するという、定額利用方式のビジネスモデルのことを指します。サブスクリプションと聞くと、新しいビジネスモデルのように感じますが、定期的に商品を届けて定額を支払うというモデル自体は、古くから存在しています。月ごとに契約して利用料を支払う新聞や牛乳配達、雑誌の定期購読などを思い浮かべるとわかりやすいのではないでしょうか。また、電車やバスの定期券も、これらの月額制や定額制のサービスに当たります。

もともとサブスクリプションという言葉には、「予約購読」「年間購読」という意味があり、そこから発展して「有限期間の使用許可」という意味で使われるようになりました。従来の、物を買い取ってもらうサービスに対して、サブスクリプションとは、期間を限定して物の利用権を販売するサービスといえるでしょう。一定の料金を支払い、決められた期間と利用方法であれば、サービスを自由に利用することができるというタイプのビジネスモデルです。

注目されている理由

このように、古くから存在するビジネスモデルであるサブスクリプションが、なぜ、いま注目されているのでしょうか。理由の1つには、物があふれている時代になったことで、消費者の興味・関心が、「物を所有すること」よりも「物を利用することで得られる体験」へと移ってきたことが考えられます。そのため、買取型の消費から体験型のサービスにニーズが変わってきて、サブスクリプション型のビジネスモデルが注目されてきたということです。

もう1つの理由は、インターネットを中心とする通信インフラが整ったことが挙げられます。高速通信が可能なインターネットが自宅や公共機関など多くの場所に普及し、スマホやパソコンの普及率も上がってきたことによって、いつでも誰でもさまざまなサブスクリプションサービスのデータに、安定的に、しかもリアルタイムにアクセスすることが可能になりました。そのため、大容量のデータでも受け渡しが問題なく行えるようになり、消費者は、さまざまな情報やサービスをインターネット経由で得られるようになりました。こうした通信インフラの発達が、オンラインでのさまざまな製品・サービスの提供や、利用料定額のオンラインサービスの隆盛に一役を担っているのです。

メリットとデメリット

一般社会に浸透しているサブスクリプション型のサービスですが、提供する企業にとっては、メリットとデメリットの両面があります。メリットとしては、買い切り型の商品と比較すると、利用料を安く設定することが可能で、サービス利用のハードルが下がり顧客数のアップに繋がるという点が挙げられます。また、利用料による売上を継続的に維持することができ、安定的な経営ができる点もメリットです。継続率や解約率を分析することによって、売上予測や改善の方針も立てやすいといえるでしょう。さらに、買い切り型の商品と違って、日々バージョンアップを重ねて、常に最新版を顧客に提供することが可能です。そのため、市場でのサービスの提供スピードが上がり、競合する他社に先を越されないような素早い対応も可能になります。

デメリットとして考えられるのは、買い切り商品と違って、継続的に顧客管理をする必要があり、そのための管理コストがかかるという点が挙げられます。サブスクリプション型のサービスの場合、契約や解約、顧客情報、請求管理など、多くの管理業務が生じ、そのためのリソースを確保することが必須です。また、この管理コストによって、収支はマイナスからスタートすることになり、売上が上がるまでには経費の方が多くかかる時期が生じます。そのため、収支がマイナスの期間でも継続してサービスを提供するための資金力が必要です。さらに、商品を販売したら顧客との関係性が終了する従来のビジネスモデルとは違い、常に顧客に満足してもらい、契約や料金の支払いを継続してもらうには、常に最新のサービスを提供し続けなければならないという必要性も生じます。

BtoB向けサブスプリクションには大きく2つの分類がある

サブスクリプションには、一般の顧客に向けたBtoC型と企業向けのBtoB型のサービスがありますが、ここでは、BtoB向けのサブスクリプションについて説明していきます。BtoB向けの中にも、大きく分けて2つの分類がありますので、それぞれについて解説していきます。

【Horizontal SaaS(ホリゾンタルサース)】
Horizontal SaaSは、マーケティング、営業、HR、開発といった、企業内の特定の部門や機能に特化したソフトウェアサービスのことです。Horizontal SaaSの場合、業界は問わず、特定の部門や機能に特化したサービスになっています。例えば、Zenefits、Hubspot、Salesforceなど、財務・会計システムや、人事給与システム、セールスサポートに関するSaaSが挙げられます。一般的にSaaSやクラウドサービスといえば、多くの人が思い浮かべるのはHorizontal SaaSではないでしょうか。

【Vertical SaaS(ヴァーティカルサース)】
一方、Vertical SaaSは小売、建設、物流、ヘルスケアなど、業界に特化したSaaSのことをさします。こうした業界では、業界ごとの特有の課題が各業界で共通しており、それらを解決できるソフトをサブスクリプションとして提供するサービスがVertical SaaSに当たります。Veeva、Guidewireなどが代表的なサービス例として挙げられます。

サブスクリプションモデルを採用しているサービスの代表例

サブスクリプションは、生活において多岐の分野にわたって浸透しています。特に一般顧客向けのBtoCサービスとしては、ショッピング、ストリーミング配信、ゲームなどはもちろんのこと、珍しいものではシャツのクリーニングサービスや洋服のレンタルまで、さまざまなビジネスモデルがあります。また、BtoB向けのサブスクリプションサービスも、多くの会社で採用されている主要なビジネスソフト会社などが参入しています。ここでは、BtoB向けサービスの代表的な例を紹介していきます。ぜひ、自社の商材の提供イメージの参考にしてみてください。

Officeシリーズ

ビジネスには欠かせないオフィスソフトの代表が、「Word」や「Excel」「PowerPoint」といったOfficeシリーズです。このOfficeシリーズは、従来の買切り形で導入すると高額な初期費用がかかりますが、このサブスクリプションサービスは、会員になることで、1カ月単位で複数のソフトの利用が可能になります。顧客にとってみれば、高額なソフトウェアでも気軽に試すことができることや、常に最新のソフトウェアのバージョンを利用できるといったメリットがあります。このような提供方法は、AmazonやYoutube Music、Youtube Gamingなど関連サービスにも適用され、サブスクリプション型サービスの主要な提供方法の1つとなっています。

Microsoftのサブスクリプション

Microsoftのサブスクリプションは、Microsoftが開発した各種製品の月額提供サービスのことです。上記のOfficeシリーズといった一般ユーザー向けの製品だけでなく、開発者向けのVisual Studioや、統合的な開発環境を提供するAzureなども対象となっています。サブスクリプション会員向けには、仮想マシンが構成されたイメージギャラリーの利用や、開発とテストのトレーニングやサポートが受けられるなど、利用体験の充実を図っています。

AdobeのCreative Cloud

デザインソフトを開発しているAdobeが提供するサブスクリプションサービスが「Creative Cloud」です。従来は買い切りのパッケージ型で高額だった写真・画像加工のPhotoshopや、デザインソフトのIllustrator、動画制作のPremireなどのクリエイター向けのソフトを、クラウド経由で利用することが可能です。常に最新バージョンに更新されるので、買い切り型のように、最新バージョンを買い直す必要がありません。単体のソフトの利用や、セットでの利用、クラウドのストレージなどさまざまな条件により月額料金が設定されています。

カスタマーサクセスとは?

サブスクリプションのビジネスモデルを運営していく上で欠かせない概念として、「カスタマーサクセス」という用語があります。この概念は自社のサービスを成功に導くためには、ぜひ押さえておくべきポイントだと言えます。ここでは、カスタマーサクセスについての概要や重要性について解説していきます。ぜひ、自社サービス改善の参考にしてみてください。

カスタマーサクセスの概要

カスタマーサクセスという言葉は、直訳通り、「顧客の成功」を意味しています。顧客の成功体験が、サービスの継続利用に繋がるという考え方です。サブスクリプション型のサービスは、買い切り型の商品とは異なり、継続して利用してもらうことで満足度が高まるというビジネスモデルです。ここでいう「顧客の成功」という基準は、提供するサービス内容によって大きく異なりますが、どんなサービスであっても、顧客に継続的に利用してもらうためには、顧客がサービスを利用し続けたいと考える成功体験が必要になります。そのため、運営する会社にとっては、顧客が成功を体験するために、どのようにサービスを提供するかという視点が重要になります。

カスタマーサクセスの重要性

サブスクリプション型のサービス運営で大切なことは、安定的な利益を確保し、顧客を増やしていくことです。そのために大切なのは、顧客にサービスを継続して利用してもらうことです。顧客にとっては、買い切り型のように一度に高額な支払いをするリスクを減らし、月々の定額でサービスを利用することができるのがサブスクリプションのメリットです。しかし、裏を返せば、顧客は満足感や成功体験が得られなければすぐに解約して別のサービスを利用することができます。これは企業側にとっては大きなリスクとなります。この企業側のリスクを減らすためには、カスタマーサクセスを高めることが重要なポイントとなるのです。

つまり、企業の成功だけを考えるのではなく、顧客の成功を導くことを重要視していくことで、顧客の継続利用につながり、結果的に企業の利益の確保にもつながってくるのです。サブスクリプション型のサービスを提供する場合には、従来の買い切り型の商品の提供以上に、カスタマーサクセスという基本姿勢をマーケティングや開発、営業、CSなど事業活動を通じてつらぬくことが必要です。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスと似たような言葉として、カスタマーサポートという言葉は、馴染みがあるのではないでしょうか。カスタマーサポートとは、従来からある取り組みで、商品のヘルプデスクを開設して、顧客からの問い合わせや苦情を受け付けるスタイルです。顧客からのアプローチを受けて、商品やサービスの改善に取り組み、次の商品への売上につなげる方法のため、能動的に利益を生む方法ではありません。受動的な顧客支援の方法と言えるでしょう。

それに対して、カスタマーサクセスは、顧客からのアプローチを待っているのではなく、顧客の成功体験の後押しをするためには何をしたらよいかを能動的に考えてサービス・情報提供を行う手法です。顧客を成功体験に導くために必要な情報提供やサービスを企業側から積極的におこない、常にサービスのアップグレードを図っていくことで、サービスの売上向上や解約率の軽減に直接的に関わっていきます。

カスタマーサクセス取り組み事例

ここでは、カスタマーサクセスの概念を取り入れている会社の紹介と、それらの会社がどのようにこの取り組みをおこなっているのか、サービスへの適用事例を紹介していきます。顧客の成功体験をどのように実現することができたのか、参考にしてみてください。

カスタマーサクセス本部を設立したセールスフォース・ドットコム

セールスフォース・ドットコムは、企業向けのクラウドサービスとしては大手の会社です。営業支援ツールやカスタマーサービスプラットフォームの「Service Cloud」を提供しています。カスタマーサクセスという言葉を発案したマーク・ベニオフ氏が創業者の会社ということもあり、まだサブスクリプションがそれほど知られていない2000年度初頭から、いち早くカスタマーサクセスの重要性を伝えてきた企業でもあります。

実際に顧客の成功体験へつなげるための活動として、カスタマーサクセス本部を立ち上げ、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)という役職を用意しました。顧客に直接アプローチすることによって、顧客の目標を共有し、そのための改善方法を数値化して支援しています。

日本では最初期にカスタマーサクセスを取り入れたSanSan

SanSanは、テレビCMでもおなじみの名刺管理サービスを提供する会社です。社内の名刺を一元管理することを目的としたビジネスプラットフォームとして活用するためのクラウドサービスを提供しています。日本企業として最初期の2012年にカスタマーサクセス部門を創設しています。カスタマーサクセスの中核として、オンボーディング(導入支援)を重要視していて、サービスの契約直後に、サービス利用のモチベーションを高い状態に持っていけるように支援をしています。

これは、サービス導入時に「よくわからないけど上からの指示で」というように主体性のない状態から利用を始めてしまうと、モチベーションが上がらず、サービスの利便性に気づく前に使わなくなり解約してしまうといった状況におちいりがちになるからです。そのため、サポートを契約直後に重点的に行うことで、社内にサービスの浸透を図り、スムーズに運用できるように、使い方のセミナーなどを実施しています。

解約率を0.7%まで改善したRepro

Reproはモバイルアプリの成長支援ツールを提供している会社です。しかし、アプリの初期設定に時間がかかるということもあり、サービスの活用が進まないという問題点がありました。導入後1年を経過した時点で使われている機能がほぼないことが判明したのです。こうした解約リスクが高い顧客が多くいる状況に危機感を感じたことから、カスタマーサクセスの概念を取り入れました。

顧客との面談の中で、初期設定に開発の知識が必要だったため、利用方法がわからないままReproのフォローもなく放置されていたのが大きな原因だったことがわかりました。これを改善するために、面談を繰り返して、今後の対策と、顧客の目指すロードマップを作り上げていきました。ゴールのイメージを共有することで、単なるサービスの使用方法の説明にとどまらない信頼関係を築き、解約率を下げることに成功したのです。カスタマーサクセスを立ち上げてから1年間で、活用率10%の状態から解約率0.7%までに変化させることができました。

売り切りからクラウド転向を果たしたCreativeCloud

Adobeは画像や映像を扱うプロのクリエイター向けのソフトウェアを提供している会社で、従来は買い切りのソフトウェアを提供していました。しかし、商品が高額なこともあり、最新のバージョンアップ製品を販売しても、古いバージョンを使い続けるユーザーが多かったのが実情でした。そこで、従来のパッケージの買い切り型からクラウド経由でのサブスクリプションサービスに方向を転換し、「Creative Cloud」を開始しました。

顧客にとっては、高額なバージョンアップ製品を買い直す必要がなく、月額料金を払うことで、いつでも最新のソフトウェアを使うことができるというメリットに結びつきました。また、パッケージ製品は、買取後は利用者がどのようにソフトを利用しているのか企業側にはわからないという課題もあったのですが、サブスクリクションによるサービスの提供に移行することで、顧客にダイレクトなサポートを提供することが可能になり、こうした情報も獲得できるようになりました。SaaSでカスタマーサクセスを実現させた実例として成功しています。

顧客のつまずきを点数化したfreee

freeeは、個人事業主や中小企業で、会計の知識がない人でも簡単に会計処理が行えるように、クラウド上で利用できる会計ソフトを提供している会社です。専門の経理担当がいない中小企業や個人事業主の会計の負担を軽減するのが、freeeの目的です。個人事業、中小企業、中規模企業向けの担当部署ごとにカスタマーサクセス担当を配置し、それぞれのニーズを汲み取っています。

カスタマーサクセス担当による1対1での対応のほか、メルマガなどテックタッチの支援を行うことで、顧客のサービス利用上のつまずきを把握しています。具体的には、顧客のログイン状況や取引登録のデータを分析し、顧客がどこでソフトの利用につまずいているのかを点数化しているのです。改善には優先順位をつけ、顧客の一つひとつのつまずきという課題を解決していくことで、顧客の会計処理の成功体験へとつなげているのです。

スマートフォンでのオンデマンド動画配信Netfrix

Netfrixは、スマホやパソコンで観賞することができる定額制の動画配信サービスを提供している会社です。月額契約によって、動画は見放題となっており、好きな時に好きなだけ、動画を視聴することができます。インターネットに接続していれば、モバイル端末を使用してどこでも動画を楽しむことが可能です。新作も毎月リリースされているため、飽きることなくサービスを継続できる点も、Netfrixの顧客の成功体験でしょう。

見たい動画を1本ずつ借りたり購入したりするような従来のビジネスモデルを覆すようなサブスクリプションモデルとして、世界190カ国以上に広がっています。ユーザーのライフスタイルの変化に敏感に反応して、そのスタイルにマッチしたサービスを提供することで、ユーザーが成功体験できるようになった例といえるでしょう。

あわせて知りたい!サブスクリプションの関連ワード

サブスクリプションサービスを運営し、カスタマーサクセスの向上に取り組んでいくためには、サービス提供の上で知っておくべき用語や、考え方があります。ここでは、それらの重要な用語について説明していきます。専門用語を理解して運用を行うことで、事業展開の際に適切な判断をするための参考にしてください。

SaaS

SaaSとは、Software as a Serviceの略で、「サース」または「サーズ」と呼びます。これは、クラウド上で利用できるソフトウェアサービスのことです。1カ月単位、1年単位などで利用料を支払うことによってソフトを利用することができる、サブスクリプション型のソフトウェア利用サービスです。MicrosoftのOffice365や、GoogleのG Suite、Dropboxなどが代表的なSaaSの例です。

ストックビジネス

ストックビジネスとは、蓄積していく収益構造を指し、新規契約を増やすことで収益を上げるのではなく、継続的な利用によって収益を得る仕組みのことです。従来のビジネスは、買い切り型の商品を売るごとに収益を得るという、フロービジネスと呼ばれるビジネスモデルでした。ストックビジネスは、商品を継続利用することによって収益が得られるビジネスモデルです。定額制のサブスクリプションや、従量制のリカーリングは、継続利用を前提とした収益構造になっているため、ストックビジネスということができます。

LTV

LTVとは、1人の顧客との取引開始から終了までに得られる利益の合計を指す用語で、Life Time Valueの略称です。顧客生涯価値とも呼ばれています。1人の顧客が、長期間サービスを継続すると、LTVが高いということになります。これは、継続購入のサービスや商品にあてはまる指標で、一度しか買わないような不動産などにはあまり有効ではありませんが、サブスクリプションサービスを運営する上では重要な指標です。

LTVの算出は、一人ひとりの数値を求めることは有効ではないので、概算的に指標を出します。定額購入のサブスクリプション型ならば、顧客の年間取引額×収益率×継続利用年数といった方法で割り出すことができるでしょう。そのほかにも、サービス内容によって、何種類かの計算式があります。LTVの分析を行うことで、新規顧客獲得にかけるコストをどれだけ投入するかという判断に利用することができます。また、LTVを指標として高めることを目的として、サービスに合った対策を立てることもできます。サブスクリプションサービスであれば、どのように継続期間を伸ばすことができるかといった対策が有効になるでしょう。

MRR

MRRとは、月次経常収益のことで、Monthly Recurring Revenueの略称です。毎月決まって発生する売上のみを計算対象として計上し、1度しか発生しない初期費用や追加購入費用などの売上は除いて計算します。そうすることで、前月や前年度同月などと比較した変化を確認し、分析と対策を行うことができます。

MRRを増加させる主な要因として、新規顧客の獲得、アップセル、クロスセルがあげられます。用語については後述します。逆に、MRRを減少させる要因として、解約や退会、ダウンセルが考えられます。これらの統計を取ることによって、月ごとの変動が、増加しているのか、減少しているのか、維持しているのかを判断することができ、それによって今後の事業の展開状況を推測していくことが可能になります。

ARR

ARRとは、年間経常収益のことで、Annual Recurring Revenueの略称です。MRRと同様、1回しか発生しない売上を除外した上で計算する収益のことで、月ではなく、1年間の収益を表しています。つまり、MRRの12カ月分のデータを足したものが、ARRの値になります。1年単位での変動の比較ができる指標です。

ARPU

ARPUとは、ユーザー平均単価のことで、Average Revenue Per Userの略称です。顧客1人当たりの平均収益を示すことができます。将来的な顧客からの収益を予想する際に役立つ指標で、顧客の数が売り上げにどのように影響しているのか、ということを判断することができます。また、同業種と比較することもできるため、投資家たちが参考として用いることもあります。

ARPPU

ARPPUとは、課金ユーザー平均単価のことで、Average Revenue Per Paid Userの略称です。ゲームアプリや、音楽配信サービスなどの中に、課金ユーザーと無課金ユーザー両方が存在する場合、ARPUの指標はどちらも合わせて計算されるため、正確な情報が得られません。ARPPUは、月ごとや年ごとの総収益を課金ユーザーの合計数で割ることで求められます。例えば、プロモーションをかけた月に、どの程度変動があってプロモーション効果がどの程度あったかを判断することができます。また、サービスに対してどれほどの価値をユーザーが見出しているかを判断するために利用することもできます。

CAC

CACとは、顧客獲得費用のことで、Customer Acquisition Costの略称です。1人当たりの顧客獲得にかかったコストを知ることができる指標です。顧客獲得の費用総額を、実際の顧客獲得数で割ることで値を求められます。獲得コストには、マーケティングや販売経費などが含まれるため、マーケティング戦略や予算、経費が妥当だったかを判断することができる指標です。また、LTVからCACを引くことで、顧客1人当たりの利益を求めることが可能です。

アップセル

アップセルとは、顧客が、現在契約しているサービスよりも高い金額のサービスにグレードアップすることで、顧客単価をアップさせる営業手法のことを指します。サブスクリプション型のサービスで言えば、ベーシックプランからプレミアムプランへのアップグレードなどがアップセルに当たります。また、追加サービスの購入や、広告非表示化のオプション契約などもアップセルに該当します。

新規顧客を開拓することなく、既存の顧客へのアプローチで売上を増やすことができるので、売上アップに対するコストを抑えることができます。顧客のサービスへの満足度が高ければ、より高いサービスへのニーズがあり、アップセルが期待できます。まずは、通常のサービスでのカスタマーサクセスが成功することによって、アップセルへと誘導することができます。押しつけがましいと感じる営業では逆効果になってしまうため、顧客のニーズに合ったアップグレードの提案を、適切なタイミングで行うことがポイントです。そのためには、顧客のサービス利用状況の把握も重要です。

クロスセル

クロスセルとは、顧客がすでに契約したサービスの関連サービスを紹介し、新たな購買へとつなげて顧客単価をアップさせる営業手法です。商品の販売時だけでなく、購入後のフォローで、おすすめの商品を掲示することもできます。顧客のサービス利用状況から、必要になりそうな関連商品やサービスをおすすめとして表示したり、メール配信などで関連サービスを紹介することで、契約へつなげることができます。

アップセルと同じように、すでにサービスを購入した顧客へのアプローチによって、新規顧客を増やすことなく、売上を上げることができます。購入後のフォローアップやテックタッチの支援によるカスタマーサクセスがうまくいっていれば、追加購入の可能性が高くなります。また、顧客のニーズがどこにあるのかを的確に把握するためには、顧客の利用データを有効に活用することも重要となります。

ダウンセル

ダウンセルとは、顧客が契約しているサービスよりもグレードを下げた低価格、低機能なサービスを提案することです。これは、完全な解約を防ぎ、継続的な利益へとつなげていくための営業手法です。サブスクリプションサービスの場合、定期契約したものの、思っていたよりも利用頻度が低かったり、満足度が得られなかった場合には、すぐに解約につながりやすいというリスクがあります。

顧客の要望と、提供しているサービスのアンマッチが起きた時に、解約の一歩手前の段階で、ダウンセルの提案を行っていくことで、契約を維持してもらうことが期待できます。ダウンセルによって売上は下がりますが、満足度が得られれば再びアップセル・クロスセルへとつなげていく関係性を維持していくことができます。

まとめ

サブスクリプションサービスと、その運営に欠かせないカスタマーサクセスについて解説してきました。おおよそのことは理解できたでしょうか。定期・定額制のビジネスモデルであるサブスクリプションを成功させる上で、カスタマーサクセスは収益に密接な関係があり、欠かせない概念だと言えるでしょう。自社の商材やサービスを展開していく上で、本記事が参考になると幸いです。

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