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売上をアップさせたい!プライシング戦略を9個紹介!

売上をアップさせるための要素の1つとして、プライシングが挙げられますが、プライシングという言葉を聞いたことがないという人もいるでしょう。この記事では、プライシングとはどのようなものなのかということをはじめ、プライシングの戦略を9個紹介していきます。プライシングについて知り、売上アップのために活用していきましょう。

プライシングの意味をおさらい!

そもそも「プライシング」とは、製品やサービスの取引価格を決めることという意味を指しています。マーケティング戦略で望ましい市場反応を引き出すためのマーケティングミックスとされる、「Product(製品)」・「Price(価格)」・「Place(場所)」・「Promotion(広告宣伝)」のうちの1つとなっているのです。プライシングは、目標利益率を達成させるためや、市場でのシェアの拡大を図るため、競合企業への対応などに考慮しておこなわれます。

このほかにも、プライシングを実践する目的や、プライシングの戦略にはさまざまなものがあります。売上をアップさせる上で重要な要素となるため、原価などを基準とする機械的なプロセスだけでなく、戦略を踏まえたプライシングが効果的となるでしょう。ちなみに、プライシングと一言でいっても、その手法にはいくつかあるのです。

具体的には、コストに一定の利益を上乗せした金額を販売価格として、消費者に販売する「コストプラス法」や、仕入原価に一定のマージンを上乗せする「マークアップ率によるコストプラス法」のほかにも、製造原価に一定の利益を上乗せする「マージン率によるコストプラス法」といった方法などが挙げられます。企業側の視点に立つか、消費者側の視点に立ってプライシングをするかによって、設定される金額も異なっているのが特徴です。

プライシングの目的1:売上アップ

プライシングの具体的な目的としては、まず、売上アップを狙うというものがあります。企業は、最適なプライシングをおこなうことによって、売上を最大限に増やすことができるのです。企業にとっては安すぎない値段であり、かつ、消費者にとっては高すぎない値段をプライシングすることが重要になります。安すぎるプライシングでは、消費者にとっては大きなメリットがあるかもしれませんが、企業にとっては、あまり収益が伸びないという悩みになる可能性があるのです。

一方で、企業にとっての利益が大きいプライシングを設定してしまうと、消費者にとってはメリットを感じない値段になってしまいます。その結果、消費者の購買意欲を下げ、商品の売上が伸び悩むということが考えられるのです。同じ商品でもプライシング次第で利益が大きく違ってくるため、戦略次第で利益率を上げることができるといえます。適切なプライシングをおこなうことによって、売上だけでなく利益も最大限アップさせることで、商品の価値や企業の価値を高めることができるでしょう。

プライシングの目的2:商品価格の安定化

プライシングの目的2つ目としては、商品価格の安定化が挙げられます。値段の変動は顧客にとって不安材料となるため、安定させることでユーザーへの安心感を与えることができるでしょう。安心感を与えることで、顧客にその商品を継続して選んでもらいやすくなるというメリットもあるのです。商品の値段が頻繁に変動する場合、特に、値段が安くなる場合に関しては、値段は安くなったけれども、その分品質が落ちたのではないかという不安を抱かせてしまうことになりかねません。

このことからも、プライシングは、安く設定すれば良いというものではないことが分かるでしょう。なお、商品の価格が安定することは、利益の安定にもつながるだけでなく、企業イメージの維持や向上にもつながる可能性があるのです。そのため、できるだけ、商品の値段は一定に保つ努力が求められています。

プライシングの目的3:市場シェアの拡大

プライシングの目的3つ目は、市場シェアの拡大が挙げられます。商品の出荷量が増えると1商品あたりのコストが抑えられ、売上アップにつながるのです。そのため、シェアが拡大すれば、それに伴って売り上げや利益も増える可能性が高くなります。現状だけでなく、これからの市場やニーズを予想することで、市場シェアの拡大をめざすことができるでしょう。適切なプライシングをおこない、多くの消費者から支持される商品になることで、市場シェアも広がっていくので、徐々に利益の拡大が見込めるようになっていくという仕組みです。

プライシングの目的4:競合他社への対抗

さらに、競合他社への対抗もプライシングの目的となっています。たとえば、競合他社が値下げをするのならば、対抗して値下げすることで顧客を守ることができるということです。似たような商品であれば、値段の安い方を買おうという消費者も多くいます。そのような消費者を確保するためにも、競合他社が値下げをした場合は、値下げをすることが効果的になることが考えられるのです。

また、競合他社から乗り換えやすいプライシングをすることで、顧客の獲得を図ることもできます。競合他社が値下げをした場合に、顧客を守るために自社も値下げをおこなって対抗するのと逆のパターンとなっています。このように、他社から顧客を獲得するためには、思い切った値下げなどによって、囲い込む戦略も有効となるでしょう。

プライシングの目的5:投資の回収

加えて、投資の回収もプライシングの目的といえます。プライシングの方法次第では、投資を早めに回収することが可能となるのです。具体的な方法としては、新発売の商品に高めの価格設定をすることで、投資を早めに回収できるということが挙げられます。これは、新商品を早く手に入れたいという顧客のニーズを利用する方法にもなっている点がポイントです。消費者傾向としては、新商品は試してみたいというものが多くあるので、その性質を利用するプライシングとなります。多少高くても新商品であればお金を出して買いたいという消費者動向に訴求をし、高めの値段を設定して販売をおこないます。このようにして販売初期に投資を回収することができるのです。

プライシング戦略1:コストやニーズを考慮する方法

ここからは具体的なプライシング戦略について9つ紹介していきますが、まず1つ目としてはコストやニーズを考慮する方法が挙げられます。これは、仕入れ、人件費などにかかったコストに利益分をプラスしてプライシングするという方法です。コストのみを考慮したプライシングでは一定の利益が見込めるものの、市場にどれだけ受け入れてもらえるかは未知数となってしまいます。結果的に、市場シェアが拡大しなければ売上は伸び悩んでしまうでしょう。

しかし、コストだけでなく顧客のニーズを考えてプライシングすると、市場に受け入れやすくなるというメリットが考えられるのです。顧客のニーズを満たしているので、購入してもらいやすい商品となり、結果的に売上や市場シェアの拡大につながっています。このプライシング戦略は、顧客の需要を考えてプライシングをするという点から、「需要志向型価格設定法」と呼ばれています。

プライシング戦略2:発売からの期間を考慮する方法

2つ目のプライシング戦略としては、発売からの期間を考慮するという方法があります。これは、発売時は高めの価格設定をしておき、徐々に価格を下げていく方法のことを指しています。このプライシング戦略を実行するためには、発売されたら価格設定に関係なく購入する顧客と、購入しやすい価格になったら購入する顧客の存在が必須になるでしょう。新発売されたものは値段が高くても購入する顧客がいる場合、プライシングの目的の1つでもある投資の回収が可能になります。

発売時は高めの価格設定をしておくことで、その分だけ初期投資の回収をすることも可能になるため、この戦略は効果的であると捉えられるのです。なお、発売時に大きな利益が期待できるというメリットはありますが、競合他社が後々新規参入して価格競争が激化する商品の場合にはあまり有効ではないと考えられています。

プライシング戦略3:2つの価格を設定する方法

プライシング戦略3つ目として、2つの価格を設定する方法があります。具体的には、キャンペーンやクーポン、キャッシュバックなどによって、通常高めの価格設定のものを安い価格で販売する方法のことを指しています。高めの値段設定にしていることにより、商品の品質が良いと判断させつつ、それを安い価格で購入できるというお得感を与えることができるのです。

このように、同じ商品に2つのプライシングをすることで、なるべく安くお得に購入したい顧客と、価格よりも性能などを重視する顧客それぞれが納得できる買い方が可能となるでしょう。なお、この場合の値引きは、意図的なプライシングといえます。市場シェアの小さい企業や、新しく市場に参入してきた企業によって使われることが多い戦略であり、短期的な売上を上げる効果が期待できるのです。

プライシング戦略4:顧客の心理を考慮する方法

また、顧客の心理を考慮する方法というものもあります。そのためのプライシング戦略には、名声価格・習慣価格・端数価格の3つが挙げられるでしょう。名声価格は、バッグなどのブランド品や高級品は、ブランドイメージの維持や品質のよさを印象付けるために高い価格設定をすることを指しています。これにより、高いから良いものなのだろうという先入観を与えることができるのです。

また、習慣価格は、菓子類や飲料品で長期間価格が変わらないものは、顧客が価格に慣れているため、同一価格に設定する方が販売しやすいということです。値段が高くなれば購買意欲が下がる可能性がある一方、安くしてしまうと以前のものよりも品質が落ちてしまったのではないかと不安を感じてしまう可能性が考えられます。このほかに、980円などの中途半端な価格に設定することで、割安感を与える価格設定のことは端数価格といいます。商品の中には、このような端数価格にしているものがたくさん見受けられるでしょう。

プライシング戦略5:地域ごとに価格を変える方法

地域ごとに価格を変える方法というのは、競合他社との価格競争が激しい都心部などでは安めの価格設定にすることで、市場シェアを拡大していく戦略となります。一方で、競合他社との価格競争が少ない地域では、あらかじめ高めの価格設定にして利益を出すようにする方法です。これは、飛行機代などに多い戦略であるといえるでしょう。競合他社が多いところでは、同じような商品であれば値段が安いものが選ばれる傾向があります。そのため、その中でも多くの顧客に選んでもらえるように、できるだけ他社より安い値段で提供します。

一方の競合他社が少ないところでは、多少高い値段設定にしても、それしか選択肢がなければ必然的に選んでもらえると考えます。そのため、高めの設定にすれば、その分の利益が見込めるということです。

プライシング戦略6:複数の商品をセットで売る方法

複数の商品をセットで売る方法は、2つ以上の商品を購入することで、単品で別々に購入するよりも合計金額が割安となるプライシング戦略の1つです。パソコンとソフトウェア、新幹線とホテルといったように、セットで販売されているものは多々あります。消費者の中には、別々で購入する場合と比べて値段が安くなっているため、割安感を感じて購入する人が多くいるようです。しかし、セットにした商品はそれぞれがどれくらい安くなっているのかを把握しにくくなるため、利益をきちんと計算しておく注意が必要になります。

このような盲点があるため、場合によっては、それぞれの商品の市場価値を下げてしまう恐れもあるのです。消費者としてはメリットが多くなりますが、企業側はきちんとした利益計算をしないまま販売してしまうと、予想よりも利益が出なかったという事態になりかねないので気を付けましょう。

プライシング戦略7:市場シェアの拡大をめざす方法

プライシング戦略7つ目としては、市場シェアの拡大をめざす方法が挙げられます。市場シェアを拡大しておけば、競合他社が参入してきても競争を有利に進めることができるのです。そのため、他の企業が市場に参入してくると予想できる場合に用いると効果的な戦略となっています。この戦略を成功させるためには、最初は安めの価格設定にしておき、まず、市場シェアの拡大を目指すようにしてください。安めの価格であれば、当初はターゲット市場の中に入っていなかった消費者の購入も期待できるかもしれません。

また、シェアを拡大できれば、1商品あたりの生産コストも下げることができるので、売上をアップさせることも可能です。なお、このような戦略を採用する場合は、長期的な視野で価格戦略を立てる必要があります。すぐに売上を上げたいという場合には向かないので、ゆっくりと戦略を進めていくことが求められるでしょう。

プライシング戦略8:イメージを創り出す方法

イメージを創り出すことも、プライシング戦略の1つといえます。この方法では、品質が似ている商品に複数のブランドを付け、別々のプライシングをします。高価格な商品は広告などでイメージを高めつつ、高めのプライシングにしておくのです。このようにして、その商品に対して高価なイメージを消費者に与えておくことで、利益を拡大する役割を果たすことが期待できます。価格によってイメージを作り出す戦略では、高価格の商品でも利益を出しつつ、低価格な商品も含めて全体の販売規模を拡大することもできるでしょう。このような戦略をとることで、全体の販売規模を大きくしていく効果をもたらすと考えられているのです。

プライシング戦略9:安い本体と高い消耗品を組み合わせる方法

最後のプライシング戦略としては、安い本体と高い消耗品を組み合わせる方法が挙げられます。これは、本体を安く販売し、本体を使用するための消耗品によって利益を上げる方法のことで、顧客が利用すればするほど利益が上がるという仕組みになっています。具体的には、プリンターとインクや、カミソリと替刃のほかにも、スマホ料金などにおける基本料金と利用料金の組み合わせなどがあります。本体は一度購入したら、壊れるまで使用することができるので、比較的長期にわたって同じものを使い続けることが可能ですが、消耗品は定期的に交換しなくてはいけません。そのため、本体を使い続けている間は、消耗品の購入も必須となり、このようなプライシング戦略が有効になるのです。

新商品におけるプライシングの方法とは?

新商品におけるプライシングの方法についてですが、新商品の場合は今までの販売実績がなく市場シェアの拡大や利益を増やすためのプライシングが難しいと考えられています。そのため、スキミングやペネトレーションといった方法を活用していくのです。スキミングという方法は、別名、上澄み価格戦略とも呼ばれ、発売当初は高価格に設定し市場が成長したら価格を下げていく方法のことを指しています。競合他社が参入しにくい商品に効果的です。また、市場浸透価格戦略とも呼ばれるペネトレーションは、販売当初から低価格で市場シェアの拡大を狙う方法です。短期間で市場参入が可能な業界の場合に有効となっています。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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