toggle

リカーリングとは?サブスクリプションとの違いやメリットを知ろう!

時代の移り変わりにともない、ものの買い方にも変化がみられます。なかでも、注目が集まっているのが「リカーリング」や「サブスクリプション」などのビジネスモデルです。これらのビジネスモデルは、一体どのようなものなのでしょうか。ここでは、リカーリングはどのようなビジネスモデルなのか、またサブスクリプションとの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。

リカーリングについて詳しく解説!

リカーリングは、「循環する」「繰り返される」という意味の英単語「recurring」に由来しており、1つの商品の販売によって、継続的な収益を生み出すビジネスモデルを指します。一般的なヒジネスモデルは商品を販売し、そのとき限りの収益を得るというものです。

一方、リカーリングは商品を買い切るのではなく、継続利用してもらうことで、収益を上げるという仕組みです。なお、なかには商品を販売せずに、顧客にサービスを提供して継続利用してもらうことで、収益を上げるケースもあります。これらのビジネスモデルは、一般的にリカーリングビジネスと呼ばれています。

リカーリングの種類1:消耗品販売

リカーリングにはいくつかの種類があり、そのなかの一つが「消耗品販売」です。消耗品販売とは、1つの商品を販売し、その商品を使い続けるために必要となる消耗品を、継続的に購入してもらうというものです。プリンターを例に挙げると、インクの継続的な購入がリカーリングにあたります。プリンターを使っていると、徐々にインクが減ってきます。プリンターを使い続けるためには、なくなってしまったインクを購入する必要が生じるのです。商品の販売によって、必然に消耗品を買い続ける仕組みにすることで、安定して利益を得やすくなります。

また、コンタクトレンズも消耗品販売のリカーリングにあたります。コンタクトレンズのなかには使い捨てタイプのものがあり、継続的に使用するには定期購入が必要になるのです。自然に定期購入を促すことができ、継続利益を得られます。

リカーリングの種類2:月額での課金

消耗品販売以外にも、「月額課金」というリカーリングの種類があります。これは、決められた月額を課金したうえで、利用料に応じた料金を請求するというものです。具体歴には、電気代や水道代などの光熱費、またインターネット料金などがリカーリングとなります。

電気や水道といった生活に欠かせない、いわゆるライフラインはリカーリングの代表例です。顧客の月々の使用料によって利益が左右されやすいものの、ある程度安定して利益を得やすい仕組みといえます。また、「カーシェア」などのビジネスも月額課金でのリカーリングとなります。カーシェアとは1台の車を複数人でシェアするものを指し、主に都市部で人気です。

リカーリングが人気となっている理由とは?

リカーリングはなぜ人々の関心を集め、人気となっているのでしょうか。人気の理由としては、主に以下のものが挙げられます。まずは「何でも手に入りやすい時代であるため」という理由です。ものがなかなか手に入らなかった時代が終わり、現代は欲しいものが手に入りやすい傾向にあります。何でも手に入りやすい時代だからこそ、必要最低限のものしか持たないライフスタイルが人気となっています。そのため、ものを買い切って「所有する」のではなく、必要なときだけ「お金をかけて使う」というスタイルが注目されているのです。

また、「製造技術の向上」も理由の一つです。製造技術が向上したことで、ものが壊れにくくなりました。ものが売れず、販売利益が上がりにくくなったという背景からも、リカーリングで安定的な収益を上げることが注目されています。

リカーリングの事例を見てみよう!

リカーリングの事例としては、以下のものが挙げられます。まずは「新聞などのデジタルコンテンツの提供」です。新聞社や出版社のなかには、月額料金を設けてデジタルコンテンツを提供しているケースがあります。こうしたコンテンツによる課金は継続課金のほかに都度課金もあり、場合によっては大きな利益を得られる可能性があります。

次は「テレビゲーム」です。テレビゲーム本体を購入すると、その後さまざまなゲームソフトを購入する顧客も多くみられます。専用のゲームソフトを販売して顧客に購入してもらうことで、継続利益の確保につなげられるのです。さらに、生命保険や映画・ドラマのシリーズものについても、広義でリカーリングの一種とされています。このように、リカーリングは業種を問わず、幅広いビジネスに対応できるのが魅力です。

リカーリングのメリット1:顧客を囲い込みやすい

リカーリングにはさまざまなメリットがあります。なかでも、「顧客を囲い込みやすい」ことが大きなメリットとして挙げられます。一度契約を結んでしまえば、競合会社に顧客を取られるリスクが少ないのです。手頃な値段設定にしておけば、顧客が簡単に離れられない環境を作れます。たとえば、買い切りだと5万円かかってしまう商品の場合、購入を悩むユーザーも多くみられます。

一方、買い切り5万円の商品を月額500円で使えるという仕組みにすると、初期費用を安く抑えられ、契約・継続使用するユーザーも多いのです。ユーザーの気持ちをつかむ値段設定にすることで顧客離れを防ぎ、継続的に安定した収益を上げられます。

リカーリングのメリット2:販売戦略を立てやすい

リカーリングは「販売戦略を立てやすい」こともメリットです。リカーリングによって顧客を獲得すると、毎月一定額の収益を上げられるため、今後の見通しが立てやすくなります。また、顧客の購入・視聴データなどを得られるのも魅力です。データを活用することで市場を見極めやすくなり、今後のマーケティングに生かせます。

また、顧客のニーズに合わせた販売戦略を立てることで、より顧客を囲い込みやすくなるのもメリットです。顧客を満足させるには、きちんとニーズを把握する必要があります。ユーザーごとに購入しているもの、また視聴している音楽や動画などをきちんと把握・集計することで、どのような商品やサービスが求められているのかを推測できるのです。顧客のニーズに合う商品・サービスを提供することで、顧客の囲い込みにつなげられます。

リカーリングのメリット3:景気変動による影響を受けにくい

リカーリングには「景気変動による影響を受けにくい」というメリットもあります。商品そのものの価格は、景気の変動によって影響を受けてしまう場合があります。しかし、月額支払いの設定になっているリカーリングであれば、景気が変動しても影響が少ないのです。

それに、商品そのものの価格が変わったとしても、リカーリングなら毎月の料金を変えることなく、利益を上げていける可能性が高まります。景気によって企業の収益が左右されにくく、安定した収益が見込めるのが魅力です。

リカーリングのデメリット1:顧客を囲い込むまでが大変

リカーリングには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。たとえば、「顧客を囲い込むまでに努力が必要になる」ことが、デメリットとして挙げられます。リカーリングは一定数の顧客の獲得や継続率が、利益を上げるためのポイントです。しかし、リカーリングのビジネスを始めた直後は、顧客がなかなかつかなかったり、一定数の顧客を獲得するまで苦労したりするケースも少なくありません。顧客を獲得するには、それなりのメリットを提示する必要があります。

もしも、競合他社よりも利用のメリットが多くなければ、顧客が増える可能性は低いといえるでしょう。継続して利用するリカーリングだからこそ、会社ごとの特徴やメリットをよく比較し、契約に対して慎重になる人が多いのです。自社を選んでもらうには、いかに魅力的な商品やサービスを提供できるかがポイントとなります。

リカーリングのデメリット2:顧客の離脱を防ぐ工夫が必要

リカーリングは「顧客の離脱を防ぐ工夫が必要である」こともデメリットです。始めは魅力を感じられた商品・サービスでも、時間が経つと飽きてしまうというケースは少なくありません。顧客は飽きてしまうとすぐに離脱してしまうため、常に興味を引くような工夫を施していく必要があります。顧客が離脱するとそのぶん収益がなくなってしまうため、いかに利用を継続してもらえるかが、リカーリングにおいて重要なポイントとなります。

顧客に飽きられてしまってからでは、手遅れというケースもあるため要注意です。なぜなら、顧客が商品やサービスに価値を見いだせず離脱した後に、再契約をして利用してもらうのは、なかなか難しいためです。顧客を飽きさせないためにも、常に新しい情報やコンテンツの配信・提供を心がけましょう。顧客が「支払っているお金以上の価値がある」と感じられる内容に仕上げるのが大切です。

リカーリングとサブスクリプションの違いは?

違いが分からないという人も多いのが、「リカーリング」と「サブスクリプション」です。この2つには、どのような違いがあるのでしょうか。前提として、毎月料金を支払って商品やサービスを利用するという点においては、「両者は同じ」です。

しかし、「料金の変動」が大きく異なるポイントです。リカーリングは、毎月の使用量に合わせて料金が変わります。たとえば、電気代や水道代などは毎月の使用量によって、料金が異なります。一方、サブスクリプションは、毎月の料金が定額で変動しません。使用量などに関わらず、定額の料金を継続的に払い続けるという仕組みです。

サブスクリプションの主な事例

サブスクリプションの主な事例には、以下のものがあります。まずは「NetflixやHuluなどの動画配信サービス」です。これらはいわゆる動画見放題のサービスです。動画を視聴する権利に対して、料金が発生します。費用を気にせずたくさん動画を見たい、という人のニーズにマッチしたサービスです。次は「AdobeやOffice365などのソフトウェア」です。ソフトウェアも買い切りではなく、利用したぶんだけ料金を支払うというスタイルが増加傾向にあります。

Officeソフトの場合、数年に一度アップデートが実施され、ユーザーは現状のソフトを使い続けるか、新しく買い換えるかという選択を迫られることになります。買い換えを選択する場合、どうしても購入費用や、設定をやり直す手間などがかかってしまうのが難点です。その点、サブスクリプション型のソフトウェアなら、継続契約中は常に最新バージョンを利用できるというメリットがあります。さらに、「ダイソンの掃除機」もサブスクリプションサービスを提供しています。月額料金を支払うと、同社の製品を使えるというサービスです。ダイソンの掃除機を使いたいけど購入するには費用が気になる、購入前にまずは試してみたいという人に人気を集めています。

サブスクリプションのメリット

サブスクリプションにはいくつかのメリットがあります。まず挙げられるのは、「毎月の売上の算出が容易になる」というメリットです。サブスクリプションは定額制サービスであるため、顧客の契約数がわかれば、毎月の売上の算出が簡単にできます。

また、データ共有などの工夫を行うことで、「顧客の管理がしやすい」というメリットもあります。さらに、「顧客を囲い込みやすい」のも特徴です。シンプルな料金設定と使い勝手の良さで、顧客が定着化しやすい傾向にあります。

サブスクリプションのデメリット

サブスクリプションのデメリットには、以下の点が挙げられます。まずは「突然解約される可能性がある」ことです。顧客がどれくらい商品やサービスを利用してくれるかは、定かではありません。場合によっては、商品やサービスに魅力を感じなくなり、突然解約されてしまうおそれもあります。

万が一、大勢の顧客に突然解約されてしまうと、収益が一気に減ることになるため、注意が必要です。顧客離れが起きないよう、日頃からきちんと対策を施しておく必要があります。また、「適切な料金設定がむずかしい」のもデメリットです。サブスクリプションは、原価の計算がわかりにくいものが多い傾向にあります。そのため、適切な料金設定をするのが難しいといわれているのです。

リカーリングを成功させるカギを紹介!

リカーリングを成功させるためには、きちんとポイントを把握しておくのが重要です。リカーリングを成功させるカギは、以下の3つです。1つ目は「料金以上の価値を提供する」ことが挙げられます。どんなに自信のある商品やサービスであっても、ユーザーが料金以上の価値を感じなければ、飽きられてしまう可能性があります。顧客が飽きずに長く利用し続けられるように、料金以上の価値を提供するのが大切です。

2つ目の「顧客のニーズを把握する」こともポイントです。顧客が求める商品やサービスを常に考えて提供することで、満足感を高められます。さらに、顧客が継続利用しやすいように電話窓口を設けるなど、サポート体制を整えるのも重要です。どうしたら商品やサービスをずっと利用し続けたくなるのか、顧客の立場になって考えてみると良いでしょう。3つ目は「自社だけの強みを確立する」ことが挙げられます。顧客の興味を引くような新しい商品やサービスは、世にどんどん生まれています。競合他社との差別化を図れる、自社ならではの強みを見つけておくのが大切です。継続的に使用したいと思わせるような、自社ならではの商品やサービスを提供しましょう。

リカーリングでの注意点とは?

リカーリングビジネスを始める際は、以下の点に注意するのが肝心です。まず、注意点として挙げられるのは「ある程度資金を蓄えておく」という点です。リカーリングビジネスを始めたからといって、すぐに収益につながるとは限りません。ある程度の顧客を獲得できるまで、事業を続けるための資金力が必要になります。あらかじめ、資金計画をきちんと立てておきましょう。また、ある程度資金を蓄えたうえで、ビジネスを展開するのが大切です。

さらに、「原因の究明を徹底して行う」のも注意すべきポイントとして挙げられます。利益取りこぼしの際に、原因をきちんと究明し、常に改善していくことができなければ、顧客が離脱してしまうリスクが高まります。離脱を防ぐためにも、究明は徹底して行いましょう。また、「市場を常に把握しておく」のも注意点の一つです。市場の動きやターゲットをきちんと把握できていないと、時代に合うビジネス展開をするのがむずかしくなります。時代やニーズに合うビジネス展開を行わないと、顧客が一気に離れてしまう可能性があるため注意が必要です。現在の市場はどうなっているのか、またターゲットとなる顧客はどのような年齢層が多いのかなど、常にアンテナを張って情報の収集・分析を行いましょう。

たとえば、提供しているのが動画配信サービスだとして、利用している顧客の主な年齢層が20~30代の女性である場合は、よりファッションやトレンドを意識したコンテンツを作成するのも一案です。また、利用者の主な年齢層が50~60代の男性の場合は、体力向上や健康維持に役立つコンテンツを加えるのも良いでしょう。市場やターゲットを常に意識し、具体的な販売戦略を考えることで、リカーリングビジネスに失敗するリスクを低減できます。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
関連記事