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ビジネスモデルは事業の設計図!あなたは自社のビジネスモデルを説明できますか?

ビジネスモデルとは、事業の基本設計図となる重要な枠組みです。成功している企業ほど、明確なビジネスモデルを作り上げ、売り上げを伸ばしています。新しく事業を立ち上げる人や、利益がなかなか上がらないと悩む企業など、一度ビジネスモデルについて見直してみてはいかがでしょうか。そこで今回は、ビジネスモデルの考え方や作り方について説明します。

ビジネスモデルの定義に必要な「5W1H」

ビジネスモデルには、5W1Hと呼ばれる6つの定義があります。ビジネスモデルを定義するためには、まず土台となる5W1Hを理解することが必要です。5W1Hは、英語の疑問詞の頭文字を取ったWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのようにして)を基本パターンとして構成されています。ビジネスシーンでは、ビジネスモデルだけでなく、プレゼンテーションやマーケティング戦略に至るまで、あらゆる場面で活用することが可能です。

ビジネスモデルを決める際、この6つの質問に対して考えることが重要になります。いつ売るのか、誰に売るのかなど、6つの質問の答えを明確にすることにより、企業は有力なビジネスモデルを構築することができるでしょう。そして、それぞれを深く掘り下げることが成功の秘訣だと言えます。

Who:誰に売るのか

新しくビジネスを始めるにあたり、年代や性別などターゲットを絞り込むことが重要です。モノが溢れている現代で、顧客の選択肢は増え、購入方法も自由に選べるため、簡単にモノが売れる時代ではなくなってきています。そのため、まず誰に売るのかを明確にすることが大切です。ただ、企業が自由にターゲットを決めていいわけではありません。需要がない年齢層にターゲットを絞っても効果的に売ることはできないため、需要のあるターゲットであることが絶対条件になります。これから売り込んでいく商品やサービスに対して、理解を深めてくれる顧客を明確にして、その人々に向けてアピールすることが利益を生む一番の近道だと言えます。

What:何を売るのか

誰に売るのかを明確にしたら、次はそのターゲットに何を売るのかについて考えましょう。特に新しく事業を立ち上げる場合、何を売るかを自由に選択することが可能です。そのため、ある商品やサービスに対して、確実に重要があるターゲットを決めたら、自社で何を売るのかを明確にする必要があります。たとえ需要がある市場だとしても、顧客が求める商品やサービスでなければ、モノを売ることはできません。これを踏まえて、商品やサービスを決めることが重要です。

When:いつ売るのか

いつ売るのかを考える際、まずは製品のライフサイクルを理解することが重要です。製品ライフサイクルとは、商品やサービスが市場に出回ってから衰退していくサイクルのことを指します。導入期、成長期、成熟期、衰退期の順番で4つの段階に分かれており、企業が売り出す商品やサービスがどの位置にあるのかを明確にすることにより、客観的に市場の動向を確認することができます。売り上げを伸ばすために企業が特に注目しなければいけないのが、成長期です。導入期の認知度が低い時期を得て、商品やサービスが認知され始める成長期は、商品やサービスが売れやすい時期だといわれています。また、自然にモノが売れるため、広告費用も抑えられて顧客獲得には最適な時期です。企業としては、成長期にいる商品やサービスを見極めることが重要になります。

商品の専門化やブランド化、新規市場の開拓なども検討することも大切です。日本にはモノが溢れているため、新しく商品を作り出すことは困難でしょう。しかし、商品に対して専門性を高めることにより、他ブランドと差別化できるため、唯一無二の商品になることができます。また、誰でも手に入れやすいプチプラブランドにするか、高級志向のブランドにするかによっても、ブランドイメージは大きく変わるでしょう。ラグジュアリーなブランドであれば、富裕層を獲得できますし、逆にプチプラブランドであれば、地方の顧客を獲得しやすいと言えます。

さらに、既存の商品であったとしても、新しく市場を変えるだけで、売れる商品を開拓することが可能です。たとえば、トレーニングジムのインストラクターが、今までの経験と知識を活かして、ダイエットの効果が期待できるスポーツウェアを開発したら、それは市場を新しく変えたということになります。発想の転換で、成長期になり得る商品を作ることができるのです。

Where:どこで売るのか

インターネットの普及により、実際に店舗に出向いて購入する人は少なくなり、オンラインで購入する顧客が増加傾向にあります。そのため、企業はターゲット層や商品を踏まえて、どこで売るのかが大きなポイントになるでしょう。店舗の場合、購入可能な場所が限られることが最大のデメリットだと言えます。都心にしかない店舗であれば、地方に住んでいる顧客がわざわざ店舗に行くことは困難です。そのため、手軽に購入可能なオンラインショップを選ぶ人が多くなります。

さらに、パソコンがありインターネットを使える環境が整っていれば、世界中どこからでも注文が可能です。特に海外在住の人であれば、帰国しないと購入できなかった商品が、オンラインショップで簡単に購入することができます。ただし、インターネットに不慣れな世代もいるので、すべての顧客に当てはまるわけではありません。ターゲット層にも考慮して、検討することが望ましいでしょう。

Why:何のために売るのか

それぞれの企業には、会社が目指す理念を言葉に表した企業理念があります。会社は、お金儲けをすることを目的にしているわけではなく、ビジネスの真の目的は社会貢献なのです。お金儲けに重点を置いている会社は、ビジネスで成功するのはむずかしいでしょう。そのため、何のために売るのかを考える際、まずは企業理念を明確にすることが重要だと言えます。企業理念を決めるにあたり、難しいと感じる企業も多いかもしれません。しかし、なぜこの商品を売りたいのか、なぜビジネスを始めようと思ったのかなど、会社を立ち上げるに至った理由は誰しもが持っているはずです。そこを深掘りすることこそ、企業理念を考えるヒントになります。気負いせず、じっくり考えてみることが大切です。

How:どのように売るのか

最後に、どのように売るかを考えていきましょう。これは、どのように商品を売って、利益を生むかを考えることです。売り上げをつくるためには、顧客人数、顧客単価、購入頻度を増やすことが重要なポイントになります。顧客人数を増やすためには、単に広告を出すということではありません。広告を打つには高額な費用が発生するため、効果的な方法だとは言えなでしょう。そのため、低コストで集客をすることが重要になります。

また、客単価を増やすためには、一回につき複数の商品を購入してもらうことが鍵になります。しかし、モノが売れないとされている時代で、セット売りを進めることは困難です。そこで単価を増やす施策としては、個別の商品単価を上げることで、総合的な客単価を上げるということです。ただ、既存顧客であれば、なぜ単価を上げたのかなど正当な理由がない限り、ブランドから離れる場合もあるので注意が必要になります。既存顧客にも納得してもらえるように、得点やキャンペーンなど、フォローする体制を作ることが重要です。

さらに、顧客の購入頻度を増やすためには、顧客と継続的なコミュニケーションを図ることが大切です。SNSなどのコミュニケーションツールの普及により、従来に比べて、顧客とより簡単にコミュニケーションが取れるようになりました。SNSを駆使して、新商品の紹介やキャンペーンの紹介など、ブランドに興味を持ってもらえるような施策が重要だと言えます。

ビジネスモデルの種類と事例

ここまでビジネスモデルを考える方法をお伝えしてきました。次は、既存のビジネスモデルにはどのようなものがあるか、大きく分けて3つの視点から事例を解説していきます。

ものを売る

ものを売るには、商品やサービスを企画、開発、製造して顧客に売る方法と、商品やサービスを仕入れて売る方法があります。新しく事業を立ち上げた場合、認知度が低いため、まずブランドを顧客に知ってもらうことから始めることが重要です。広告には、テレビや雑誌、SNSなど、種類は多岐に渡りますが、自社のターゲット層にあった媒体に広告を出して、ブランドを認識してもらいましょう。もし、既存の顧客がいるようであれば、パック旅行や洋服のセット割引など、セットでお得感を出して売ることが効果的です。さらに、プリンタのインクカートリッジ、電動歯ブラシなど、消耗品やメンテナンスが必要な商品を売ることで、継続的な関係を築くことができます。

権利を売る

権利を売るビジネスモデルには、テーマパークなどの入場料や広告掲載、フランチャイズなどが挙げられます。使用する権利を売ることで、利益を生み出すことが可能です。広告掲載は、雑誌であればページに掲載する権利、コマーシャルで言えば、枠を購入して宣伝する権利などが一般的です。価格は企業によって異なりますが、権利を購入してもらうためには、まず自社のブランドイメージを高める必要があります。フランチャイズは、確立された商品やサービスを使う権利を購入するシステムです。仕入れや商品開発など、すでにビジネスを行ううえで必要な要素が整っているため、誰でもビジネスを行えます。

手間を売る

手間を売るビジネスモデルでは、不動産の仲介手数料、婚活サービス、人材募集などがあります。女性の晩婚化が進んでおり、多くの女性は自分で結婚相手を見つけることも難しくなっています。そのため、婚活サービスを利用して、結婚相手を効率よく探そうとする人も多いのが現実です。今後婚活サービスの市場規模は増加することが予測されます。また、多くの企業で問題になっている人手不足により、人材サービスを利用する企業が今まで以上に多くなるでしょう。人材採用には多大な金額が発生するため、一時的な人材を補填する場合、オンラインアシスタントなどを活用する企業も増加傾向にあります。今後は、人材募集などのビジネスが普及する可能性があるでしょう。

時代で変化するビジネスチャンス

利益を生むビジネスチャンスは、時代によって大きく変化するため、時代のトレンドや動向を観察することが重要です。また、価値観やライフスタイルが多様化するなかで、今後はサブスクリプション型ビジネスの拡大が予測されます。ここからは、サブスクリプション型ビジネスについて紹介します。

サブスクリプション型ビジネスとは

サブスクリプション型ビジネスとは、商品やサービスを購入するのではなく、利用するぶんだけ料金を支払うシステムのことを指します。従来は、物やサービスを所有するという考え方が一般的でしたが、現代ではIT技術の著しい発展により、所有から利用するものへと価値観が変化しています。サブスクリプション型ビジネスの普及により、消費者は購入することで物が増える心配はなく、数多くある選択肢のなかから、自分の好きなものだけを利用することができました。このビジネスモデルを採用する企業も多く、今後さらに増加していくことが予測されます。

サブスクリプションが注目される背景

サブスクリプションが注目される理由は、3つあります。1つ目は、スマートフォンの普及とネット環境の安定化の影響が大きいです。スマホとインターネットを利用できる環境があれば、いつでもどこでも動画や音楽を楽しむことができます。こういった環境が、サブスクリプションのシステムが一気に普及させたひとつの要因です。2つ目は、価値観やライフスタイルの変化が挙げられます。働き方も然り、自由なライフスタイルを求める人が増加傾向にあります。そのため、モノを購入して所有するのではなく、サービスを利用することに重点が置かれるようになったと言えます。

3つ目は、モノが溢れているため、企業は顧客満足度を優先していることが言えます。企業が一方的に商品やサービスを提供するだけでなく、顧客が求めていることを商品やサービスで展開することで、利益を上げることができるのです。モノが売れない時代であるからこそ、顧客満足度を優先するサブスクリプション型のビジネスは効果的に売り上げを伸ばす方法だと言えます。

まとめ

ビジネスモデルを考えるときには「5W1H」を意識することが大切です。「5W1H」をベースに事業を展開していくことにより、効果的に利益を上げることができるでしょう。さらに、新しいビジネスモデルとして注目されているサブスクリプション型ビジネスを検討する場合は、サブスクリプションに特化した専門のコンサルティング会社に相談するのがおすすめです。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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